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セブンイレブンの独禁法違反に思う

セブン-イレブン 公取委が排除命令…見切り販売制限不当(6月23日2時31分配信 毎日新聞)

コンビニエンスストア最大手「セブン-イレブン・ジャパン」(東京都千代田区)の本部が、フランチャイズ(FC)契約を結んだ加盟店に対し、販売期限が迫った弁当やおにぎりなどを値引きする「見切り販売」を不当に制限したとして、公正取引委員会は22日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で、違反行為の取りやめと再発防止を求める排除措置命令を出した。コンビニ各社は24時間営業の利便性を強みに加盟店に値引きしないよう推奨することが多く、業界に見切り販売が広がる可能性も出てきた。

やっと出てきたか、という感じでニュースを見ていた。

セブンイレブンをはじめ、コンビニFCのさまざまな問題はいろいろな文献を読んでいて知っていたが、出てきたのはまだまだ氷山の一角というところである。今回問題となっている弁当のヤミ再販の問題は、本当に表面的な部分に過ぎない。

そもそも、コンビニFC本部が値引きを許さないのには理由がある。ロスチャージ会計の問題である。

ある店舗で、1000万円の売上があって、800万円の仕入だったとする。粗利は通常

1000-800=200万円

となる。ロイヤリティは

200万円×0.4~0.7=80~140万円

のように、粗利にロイヤリティ率(売上規模や契約によって異なる)をかけたものを本部が持って行くのである。この場合、残りの0.3~0.6(60~120万円)の中から、店舗の維持費や人件費を出すのである。いかに本部丸儲けなのかがわかると思う。

ところで、この中に、万引きで失われたり、消費期限が過ぎて廃棄した商品50万円分があったとすると、通常はそのようなものがあっても、仕入原価は変わらず800万円であるが、ロスチャージ会計では、このロス分を仕入原価から引いてロイヤリティを計算する。つまり、ロス分×0.4~0.7の金額が、ロイヤリティとして余分に計上されている。

このような計算方法をしているものだから、値引きして売るより、値引きせず廃棄した方が本部の取り分が多いという現象が起きるのだ。

その他にも、商品の仕入は、契約上は、仕入れ先と加盟店が直接取引をすることになっているが、セブンイレブン本部が決済代行と称して間に入り、仕入れ先から実際にいくらで仕入れているかを加盟店に一切開示しない問題、売上はすべてをいったん本部に上納し、ロイヤリティ(及び仕入代金)を差し引いて戻すという問題、ドミナントという、近隣エリアに複数の店舗を集中的に出店することによる売上減の問題など、本部と加盟店は「対等」であり、加盟店は「独立事業主」であるという建前とは裏腹に、リスクはすべて加盟店に押しつけ、利益はすべて本部が吸い上げるという「ビジネスモデル」がそこにあるだけである。

こういう問題が表沙汰にならないのは、セブンイレブンをはじめ、FC本部がメディアに出稿しているからだと思う。そんなことで口をつぐんでしまうマスコミにジャーナリズムのかけらもないのだが、上記の問題は複数の加盟店店主が裁判に持ち込んでいて、いずれは日の目を見るだろう。

【参考ページ】 フランチャイズ訴状の傾向と対策

セブン‐イレブンの正体

セブン‐イレブンの正体

週刊金曜日に、起業バカ (ペーパーバックス)を書いた渡辺仁氏がセブンイレブン問題で連載中である。