PSLブログ

ヨシナシゴトヲツヅリマス

民主党の大勝に思う

総選挙は民主党が大勝した。

安倍-麻生と3世首相が続いたKY自民党政治が終わりを告げたのは当然としても、今の選挙制度では、自民党民主党が入れ替わっただけという感がある。余りに当選者が多かったために、とりあえず立候補したというような人物も、民主党を冠しただけでやすやす当選というケースが目立った。採決の際に重要な頭数にはなるのだが、政党助成金を山分けし、国会議員に保証されている歳費も取るわけだから、質も問題になるのである。その結果ろくな仕事をしなかったとして、議員が多すぎて無駄という主張が出てくるのはまるでマッチポンプである。コストに見合った仕事をする議員を当選させればいいのだ。それに、民主党は右と左でかなり考えが違う。歩調を揃えられるのか。さらに、参議院単独過半数でないため、社民党国民新党との連立を模索しているようだが、すでに安保外交問題のすりあわせで難航しているようだ。当然と言えるが。社民党の主張は共産党のものとほとんど変わらないのだ。

民主党マニフェストに、現在小選挙区300+比例180のうち、比例部分のみ80議席を削減を明記している。これは、大政党にとっては、削減するほど選挙で有利になるので(風が変わったとき激減するリスクも背負うが)、民主党自体に比例部分を維持または増やそうというインセンティブは存在しないが、これは民主主義上重大な問題である。なぜなら、自民党民主党以外の政党は、事実上小選挙区での議席獲得が難しいからである。なので、「意図的に」第三党以下の政党を国会から排除するということに等しい。今回の選挙では、民主党小選挙区300議席のうち、221議席(約73%)を獲得したが、得票率では47%に過ぎない。

選挙制度を変えることは、直接議席を持つ各政党の利害に関わるため、全会一致での議決が望ましい。多数政党のみの賛成で押し切ることは可能だが、それをやっていいというお墨付きを民主党に与えるのは危険だと思う。

なお、小選挙区制を導入したとき、ドイツの「小選挙区比例代表併用制」ではなく現行の「小選挙区比例代表並立制」を採用したのだが、この名称がとても作為的だということが、あるブログで話題になっていた。

■たかしズム - さらに選挙制度について

日本の選挙制度が如何に民意を反映しない制度であるかはすでに述べた通り。 <「議員定数」の罠> http://takashichan.seesaa.net/article/120440203.html 小選挙区比例代表併用制(ドイツ)、小選挙区比例代表並立制(日本)。どこの学者が名付けたかは知らないが、実に紛らわしい名前を付けたものである。「ドイツも日本も同じ小選挙区制だ」と印象付けたい「魂胆」が丸見えである。しかし、その内容は実際には「全く別物」なのだ。ドイツの小選挙区比例代表併用制は、日本の小選挙区制と違い、議席配分は完全に政党の得票率を元になされる。小選挙区の結果は単に、比例の名簿順位を決定するに過ぎない。最終的な議席配分は限りなく「完全比例代表制」に近い結果となる。我が国の単純小選挙区制の欠点を完全に克服したのがドイツの選挙制度なのだ。ドイツの選挙制度は世界的に見ても優れたものであり、日本の選挙制度の「対極」にあると言ってよい。この二つに紛らわしい名前を付けるところが、先ずもっていじましい。 しかるに現在民主党自民党は、この不公平な日本の選挙制度の中でも「比較的公平な」部分である比例部分を何と!80議席も「削減」しようと目論んでいるのだ。「税金の無駄遣いをなくす」を口実に国民をだまし、民主主義の根幹に係わる選挙制度を歪めることは、取り返しのつかない結果をもたらす。考えても見よう。歪んだ選挙制度で多数を得た政党が、自らの手で自分の都合のよいように選挙制度を次々に変えていったら、行き着く先は独裁政治に決まっているではないか。

■上記記事のコメント欄より

ドイツの選挙制度ですが、 英語ではMixed member proportional representationとか、 Additional Member Systemとか言われているようです (選挙制度の英語名は、殆ど同じ物にさまざまな名前 がつけられていることがよくあります) たぶん併用制の訳語は前者をつけたものでしょうが、 「小選挙区」の名前はどこにもないのにつけているのは問題ですね。 私がよく見る英語の選挙サイトでは、 後者を略したAMSが使われていることが多いので 「当選者追加式比例代表制」とかだといいと思います。

いずれにしても、民主党を勝たせたことで満足しないで、民主党が何をするのかを引き続き監視し、何をさせるのかについて声を上げていく必要があると思う。